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顧客満足型マーケティングの構図

■顧客満足型マーケティングの構図−新しい企業成長の論理を求めて

嶋口充輝著 有斐閣

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初版はバブル崩壊で日本企業の多くが苦悩の真っ只中にあった94年で、以来12年余、その後、後遺症を克服して戦後一番長い長期経済成長の続く現在も版を重ねるロングセラー。 「現代の顧客満足のテーマは、(中略)改めて最も本質的・根源的なビジネスのあり方に戻り、そこから再び経営のあり方全体を見直そうという、まさに『原点の確認』だととらえることができる」(「まえがき」など、企業、組織の新たな成長を考え実践していくうえで参考になる、今も新鮮さを失わない力作。

顧客創造が企業成長の源泉

著書は慶應大学大学院経営研究科教授(実は私の恩師の一人)。現代の経営にとって「顧客満足」が重要なキーワードになっていることを当時から強く論じており、顧客創造を企業成長の源泉にする、新しいマーケティング・パラダイムが求められていることを、基本的本質的ポイントを押さえ、また今日的課題を明示しながら、具体的な企業や商品の事例を通してわかりやすく的確に描いている。

「病院が患者を生かす」から「患者が病院を生かす」というパラダイムへ

嶋口先生は、「企業成長と顧客満足」では「ひとつの事例」として「病院経営の常識と原則実行の困難性」という問題点を鋭く突く。「優良病院と赤字病院の差は、事実として当たり前のこと、つまり患者に喜ばれる効果から追求し、その後で効率に落とし込むという効果効率主義の原則を推進するか否かにある。結果からみると、赤字病院の多くは当たり前の原則がほとんど実行されていない。当たり前の原則が実行されていない大きな理由は、多くの病院が長年にわたって作り上げてきた病院の常識を変えず、移りゆく患者の常識(ニーズや価値)とのギャップを作り出し、患者の喜びに当たる効果をなくして患者を失ってしまうからだ」として、患者への効果よりも病院側の都合や効率優先という“自分たち本意の病院の常識”を厳しく批判。かつての「病院が患者を生かす」というパラダイムが「患者が病院を生かす」に変化している時代認識を強く求めている。この指摘には脱帽。正に反論の余地などない。

病院のリーダーは顧客満足をどのように構築すべきか

第局堯峺楜卷足の追求では、企業が提供するサービスを本質サービス(機能)と表層サービスに分けて分析。例えば銀行なら前者は安全性や確実性、公平性、後者は親切、雰囲気などで、その充実努力によって達成される顧客満足との関係について、本質サービスは投資に対する上昇効果が緩慢で、ある水準以上では満足上昇が止まってしまう性質を持っていることから不満(マイナス満足)に深く関わっており、表層サービスは、それらを充実させていくと次第に満足水準が上昇する性質があることを明らかにする。その上で限られた経営資源(満足化への投資)をいかに効果的効率的に行うか、その運用のあり方や考え方について戦略的視点から示唆する。」医療機関にとってのサービスを考える上で、非常に参考になる。病院のリーダーは顧客満足をどのように構築すべきか、発想の転換と整理に役立つ。

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