透析医療機関経営者に役立つコラム

腹をくくることの重要性

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櫻堂渉のコラム

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【2008年10月 No.20】

腹をくくることの重要性

組織のリーダーにとって失敗を意識することは本当に嫌なことです。

私も同じです。失敗したくはありません。
進んで失敗したいという人はまずいないでしょう。
こう考えると、失敗しないためにどうするかという思考パターンが
知らず知らずの間に出来上がっていきます。失敗を避けることを優先する
行動のことを‘リスク回避型の行動’といいます。これに対してリスクを
ものともせずに大胆に立ち向かう事を‘リスク選好型の行動’といいます。
リスク回避型の行動様式をとる人は、何も行動しないことが失敗を避ける上で
最善の方法となります。

嫌なものにはフタをする??

私にはこんな経験があります。
私のチームはよく自治体病院の経営改善や改革の仕事に従事しました。
自治体病院の経営改善というと、議会事案ですから真剣そのものです。
地域住民への責任があります。我々もとにかく成果を出さなければと
必死になります。事務部門の協力を得ながら、データを基にシミュレーションを
繰り返しながら、経営改善のテーマを揚げ、現場に入って一生懸命コンサル
ティング活動をします。それこそ泥をかぶりながら、仕事をします。
ところが、当初病院側からはよそ者のコンサルタントが入ってきたとばかりに、
抵抗されました。これまでの否定ではない、改善するための活動なのに。
その一方で、その活動の意味を理解するとこれまで抵抗を示してきた医師たちも
次第にゴールを共有できるようになり、改善の風土が出来上がってきます。

しかし、最後まであまり乗り気ではない部門がありました。
それはどこだと思いますか?
看護部門ですか?−いいえ、違います。
検査部門ですか?−いいえ、違います。
医師部門ですか?−当初は反対しますが、違います。
なんと、それは事務部門なのです。
全部が全部とは言いませんが、事務部門はあまりに積極的に応援しようとは
しないのです。何故だと思いますか?とっても不思議でした。
当初データを出したり、議会の資料を共に作成したりと、本来我々コンサル
タントにもっとも近い部門のはずなのに、いざ行動となると目をつむって
しまうのです。

出る杭にはなれない

そこには構造的な問題が隠されていました。
その問題とは、自治体病院の事務部門が自治体の衛生部や福祉部から
病院に派遣されている職員で構成されているということです。
3年経つとまた自治体の本部に戻ります。彼らは病院に派遣される際、
任期を無事に勤め上げることだけを求められます。病院を改革しようなどと
意気込んで、失敗しようものなら本部に戻っても将来のキャリアが危ぶまれます。
こう考えると、一般的には何事もなく事故もなく、無事に任期を全うするのが
彼らの目標になってしまうのです。危ないこと、前例のないことなどはご法度で、
決して失敗してはいけないのです。つまり、先ほどの例を挙げれば自治体病院の
事務部門は構造的にリスク回避型の行動をとるようにできているのです。

このような内包した自治体病院の現状をあなたはどう考えますか?
多くの自治体病院が活力を失い、身売りしたり閉鎖したりという状況が
続いています。私に言わせれば当然のことです。
リスク回避型の行動をとるということは、何も行動しないということなのですから。
行動しないことの弊害は、自治体病院を見ればよく判ります。
このケースから私たちは非常に貴重なことを学ぶことができますね。

リーダーが動けば、組織も活きる

リーダーがリスク回避型の行動を取り続けると、組織は次第に活力を
失うということです。但し、無計画で無謀な行動は慎むべきです。
しかし、リーダーがみんなの夢や患者さんの幸せのために向かって
行動しているのだという職員の認識があれば、たとえ失敗したとしても
責める人はいないはずです。部下に媚びへつらうのではなく、自ら信じた
道を行けば良いのです。

では、このような行動をとるためには何が必要になるのでしょうか。
私はこう考えます。
やはり、リスクを犯してまで行動するというのは、根本的に目的意識が
なければ始まりません。目的に向かうための信念が必要です。
そして、どんなことがあっても絶対に成功させる、もうこの道しかない
という‘決断’が不可欠なのです。
こんなこと、経営学の教科書には書いてありません。
私が独立して自分で事業をやるようになって判ったのは、経営学の教える
ビジネスモデルは後付けだということです。
ビジネスとしての仕組みはもちろん重要です。しかし、同じビジネスモデルで
2人のリーダーが何か行動しても結果は異なると思います。
これは私の予想ですが、恐らく信念や情熱、決断といったリーダーの
心の問題が、大きく関与するということはどうやら間違いなさそうです。

みなさんがリーダーとして、どこまで腹をくくれるか。
リーダーとして非常に重要なこと。それは自分の信念や情熱を自らがしっかり
信じて、思いきって‘リスク選好型の行動’を起こすということ。
リスクに立ち向かうリーダーの行動が組織を活き活きとさせるのです。

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