対談

「組織」を変え「人」を動かす

透析マネジメント / 「組織」を変え「人」を動かす

対談

理念をどこまで落とし込むかはマネジメント次第

平田

理念を持ち、それを実践できる組織と、できない組織の違いは、営利・非営利にかかわらず、マネジメントの違いに尽きます。環境は関係ありません。理念を掲げて従業員全員に理解させることは重要ですが、ほとんどの組織はそこで止まり、空念仏に終わってしまいます。そこからもう一歩進むには、制度への落とし込みが必要なのです。

たとえば透析施設なら、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、そして事務職員から清掃担当者まで、一人ひとりの仕事の流れ、業績評価や給与のシステムの中に具体化することです。そうでなければ必ず空念仏で終わります。どの企業も「お客様第一主義」に変わりありませんが、企業ごとにその表し方が違います。ある企業は商品企画に、ある企業は顧客対応に、ある企業はスピードに表すかもしれません。理念をどこに落とし込むかは、その企業の体力やマネジメントの仕組みによって異なるからです。

一番端的なのはディズニーランドです。ディズニーラドは、そこに携わるすべての人にディズニー・フィロソフィーを理解させ、それを具現化しています。多くの人が楽しむところだから、清掃の人もミッキーになったように踊りながら仕事をする。有名な話ですが、トイレ清掃のアルバイトさえ、便器に名前をつけて「トニー、今日は1日ご苦労さんだったね。今日はどんなゲストが君に会いに来た?」と話しかけながら清掃する。そこまで落とし込むから、ディズニーランドに入った瞬間、ディズニーの臭いがするし、ディズニーのイメージがわいてくるのです。そのくらい徹底すれば、あのフィロソフィーが人を通じて、組織風土として感じられるわけです。

櫻堂

確かにいまの医療機関にとって、理念は掲げるだけのものにとどまっていることが多いようです。

平田

理念が何を重視するかで、仕組みが変わってきます。たとえば立地によっても変わります。東京の丸の内にある病院なら、仕事の合間に来る患者が重視するのは、クオリティーはもちろんですが、スピードです。待たせないための仕組みを徹底して考えると、客はとても満足します。透析の場合も立地によって違ってくるはずです。

櫻堂

たとえばターミナル駅の近くの施設なら、患者のニーズはコンビニエンスですが、郊外ならもっとリラクゼーションを求めえるでしょう。経営者がニーズの違いをきちんと考えて方針を出し、仕組みに落とし込んでいくわけです。

自分たちの評価軸を作り指標にする

平田

慶應ビジネススクールの嶋口充輝先生が言ったように、経営にはアートとサイエンスの2つの要素が求められます。やはり組織はサイエンスだけでは動かないのであって、日本の企業の強さは、サイエンスとアートのバランスが見事にとれているところにあります。

櫻堂

医療機関のマネジメントはアートが主流の世界だと思います。だからそこにサイエンスを入れたら飛躍するのです。たとえば、済生会熊本病院は最近いろいろな調査でトップにランキングされ注目を集めています。これはTQM(総合的な質管理)の仕組みづくりをやった結果なのです。

平田

診療報酬が変わるときにも、実はサイエンスをきちんとやれば、それだけで十分利益がでることがあります。その指標としてツールを使うことはお勧めしますが、大切なことはツールに酔わないこと、ツールに使われてしまわないことです。自分たちが重視したいと思うことを中心に、自分たち流の評価軸をきちんと作れば、それが指標になります。それをきちんと見直せば、過去がどうであったか、将来どうしていくか計る物差しになり、戦略の構築に使えるはずです。


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